コドモオフィスについて
設立の経緯と目的
コドモオフィスは発達障害支援を目的とした特定非営利活動法人です。
わたしたちはこれまで、奈良県立医科大学や奈良教育大学特別支援教育センターを拠点に、発達障害児を対象としたさまざまな支援プログラムを開発し、地元の学校園の先生や学生たちと一緒に実践してきました。
そして適切な環境設定や個性に応じたサポートの下、集団から外れがちな個性派キッズはそれぞれの魅力を発揮し、生き生きと活躍する姿を見せてくれました。
しかし近年、発達障害支援が広がっている一方で、担当者の転勤や管理職の交代、あるいは卒業や転校によって支援が途切れてしまうことが問題となっています。病院や大学での支援も同様、提供できるプログラムの数、規模、クオリティなどが、スタッフの入れ替わりや体制の変化に左右されてしまう現状があり、近いうちにこれまで続けてきたプロジェクトも立ち消えになってしまう危険がありました。
そこで、地域を拠点に安定的に支援を続けられる場所を作りたい、各種専門家が集まってコドモたちのために連携できる小さなオフィスを作りたいという思いから、それぞれの職場とは別に、NPO法人としてコドモのためのコドモオフィスを作ることにしました。
発達障害についての認識はこの20年ほどでずいぶん広まり、社会的関心を集める領域となってきました。しかし同時にマスメディアを中心とした啓発は、発達障害児者の「標準とのずれ」や「生活上の困難」を強調することにもなり、これが「発達障害者=難しい人」といった新たな誤解や偏見を招いているようにも感じられます。
このような社会の流れにあって、日本の発達障害支援は、ともすればそれぞれの個性的な才能や興味関心を押し殺し、”ふつう”に見える技術を育てるための「特訓」に偏って行きがちです。
わたしたちは、「風変わりだからおもしろい!」をコンセプトに、発達障害児の”自分らしさ”を育む切れ目のない支援を実現したいと思っています。
当法人では、理事に児童精神科医、臨床心理士、教師が就任し、医療・心理・教育といった三方から子どもたちを支えるイメージで運営しています。ここに教育学部で特別支援教育をみっちり学んだ学生を含むスタッフを加え、それぞれが自分の得意分野を担当し、ご利用者様のニーズに合わせてさまざまな支援プログラムを導入していきます。
また同時に、小学校から近い駅前商店街の一角にオフィスを構えることで、子どもが学校帰りに勉強していったり、ママがお茶を飲みながら座談会を開いたり、学校の先生が集まって勉強会をしたりできるような、生活に密着したみんなのための居場所を作りたいと思っています。
コドモオフィスは、子どもを取りまく多職種がチームとなり、医療、心理、教育、家庭のスムーズな連携による質の高い支援を目指します。
病院だけではできないこと、学校だけではできないことを、コドモオフィスでお手伝いできれば幸いです。
フロア全体
受付
学習支援スペース
発達相談室
待合スペース
名前の由来
コドモオフィスの名前には、少数派として日々奮闘するコドモが望む活動、役に立つ活動を、コドモのように柔軟な発想でなんでもやってみようという意味が込められています。今は大人になったみなさんも、誰かのコドモですから、対象は幼児から成人まで何歳でもOK。
合い言葉は「自分が得意なことをやる、苦手なことは人に任せる」。様々な方面の専門家が自分の守備範囲を請け負い、コドモたちがのびやかに社会で生きていくための活動をサポートします。
スタッフ紹介

代表理事大西 貴子
- 学校法人夙川学院神戸教育短期大学こども学科 准教授
- 臨床心理士
- 専門分野:応用行動分析学・精神科臨床心理学
大阪教育大学大学院(心理学専修)修了。奈良県立医科大学精神医学教室でADHDのアセスメント、心理社会的支援プログラムの開発研究に関わったことから発達障害臨床の道へ。心理臨床的アセスメント、家族支援、児童思春期カウンセリング、学校園コンサルテーションに長く従事し、2010年より奈良教育大学で教員養成に携わる。同時に小中高校教諭や大学生らと「かゆいところに手が届く」ユニークな支援プログラムを数多く実践。元奈良教育大学学校教育講座/特別支援教育研究センター特任准教授。講演や研修等の学外業務も請負いつつ、現場と育成のどちらも大事にしたいと考えている。
同志社大学大学院心理学研究科嘱託講師/帝塚山学院大学大学院臨床心理学コース学外スーパーバイザー/臨床心理士スーパーバイザー/大阪府私立幼稚園連盟委託キンダーカウンセラー
副代表理事根來 秀樹
- 元 奈良教育大学教職大学院教職開発講座 教授
- 元 奈良教育大学特別支援教育研究センター センター長
- 児童精神科医(医学博士)
- 専門分野:発達障害・児童思春期精神医学・神経生理学

奈良県立医科大学卒。医局勤務を経てUCLA留学。帰国後は奈良教育大学で教員養成に携わり、障害児医学分野教授、および特別支援教育研究センター2代目センター長を務める。楽しく分かりやすい講義は学生や現職教諭に人気。医師としての信頼も厚く、悩める親子の心強い味方である。

理事飯田 順三
- 元 奈良県立医科大学医学部看護学科 教授
- 児童精神科医(医学博士)
- 専門分野:児童思春期精神医学・神経生理学
奈良県立医科大学卒。言わずと知れた奈良県児童精神科の長。代表理事と副代表理事のボス。日本児童青年精神医学会常任理事等多くの要職に就く傍ら、地域や学校との関わりも大事にしており、子どもへの一貫した優しいまなざしは多くの親子や教育関係者から慕われている。
この他に2 名の現職教諭(小学校1 名/中学校1 名)が理事として運営に関わっています。